気づかないうちにかかってしまう高齢者の熱中症! 高齢者に多い熱中症の原因と対策について
「介護している高齢の父が熱中症にならないように気を使っています。」
「田舎でひとりで暮らす母が熱中症にならないか心配です。」
このように年配のご両親を心配されるお声を患者さんから聞くことがあります。
私にも80を超える両親がふたりで暮らしているので心配されるお気持ちがよくわかります。
熱中症にかかるリスクは高齢者で高くなる傾向がありますので、
今回のブログでは、高齢者の熱中症対策について解説していきます。
興味のある方は、お時間のある時に最後までお読みください。
こんにちは、滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川です。
今回の内容は
高齢者になぜ多い? 熱中症になる原因とは
高齢者の熱中症は重症化しやすい。早く見きわめるコツとは?
高齢者が熱中症にならないために気を付けること
となっています。
高齢者になぜ多い? 熱中症になる原因とは
私たちの体には、恒常性という体を一定に保とうとする働きがあります。
体の中で熱を生み出して体温を上げたり、反対に体温が上がると汗をかいて体温を下げ、体温を適切な状態に保とうとします。
熱中症は、この体温調節がうまく働かなくなり、体の中に熱がため込まれた状態になり、めまいや頭痛などさまざまな症状が引き起こされます。
2022年の総務省によると熱中症で救急搬送された中で65歳以上の高齢者が54.5%を占めています。
また過去のデータを見ても高齢者の割合が50%を超えています。
高齢者が熱中症になりやすいのには理由があって
①暑さを感じにくくなる
②体内の水分量が減っている
③体温調節機能が低下している
があげられます。
①暑さを感じにくくなる
皮ふには温かさを感じる「温点」があるのですが、年齢とともにその数が減少するため、年齢とともに暑さを感じる感覚が鈍くなっていきます。そのため暑さを感じにくくエアコンをつけずに過ごし熱中症になることがあります。
私の父親の場合は、エアコンの風が冷たいと言ってすぐにエアコンを切ろうとしていました。
直接エアコンの風が当たらないように工夫したり、設定温度を28℃にすることで冷たく感じることはなくなり、エアコンを切ることはなくなりました。
また暑さを感じる機能だけではなく、のどの渇きを感じる感覚も鈍くなっているため脱水症状を起こすこともあります。
②体内の水分量が減っている
体内の水分量は、成人の場合60%ありますが、高齢者では50%と少なくなってしまいます。
また、体内の老廃物をだすのに大量のおしっこを必要とするので水分量が減ってしまいます。
③体温調節機能が低下している
若い人と比べると汗をかきにくくなっているため、体に熱がたまりやすくなっています。
熱がたまることにより、循環器に負担がかかりやすくなってしまいます。
これらのことにより、若い人に比べ高齢者は熱中症にかかりやすくなっています。
高齢者の熱中症は重症化しやすい。早く見きわめるコツとは?
熱中症の症状は、軽度ではめまいや立ちくらみ、大量の汗、足がつるなどがあります。
そして、中等度になると頭痛や吐き気、気分が悪くなる、倦怠感、力が入らないなどがあります。
重度になると、意識障害、けいれん、高体温、真っ直ぐ歩けないなどがあります。
高齢者になると軽度の症状に気づきにくく、いきなり重度の症状になってから周りの人が気づくということが起こってしまいます。
そこで熱中症にかかっているかを見きわめるコツですが、
唇が乾いている
皮ふが乾いてかたくなっている
体が熱い
元気がない、ぼんやりとしている
食欲がない
高齢者の場合、数日かけて脱水症状が進んでいることがあります。
このような場合、本人だけでなくまわりの家族も気づかないため発見が遅くなります。
上記のような状態があれば熱中症が疑われますので、すぐに専門医にご相談ください。
高齢者が熱中症にならないために気を付けること
こまめに水分と塩分を補給する
高齢者では、のどの渇きを感じる感覚が低下しているため、のどが乾いてから水分を摂っていると水分不足になってしまいます。
のどの渇きを感じる前にこまめに水分を摂るようにしてください。
また、汗をかくことにより塩分も不足しているので、塩分も一緒にとることが必要です。
水分と塩分を一緒に摂れるものに、スポーツドリンクや経口補水液があります。
スポーツドリンクと水を1対1の割合で薄めて飲むことをおすすめします。
また糖尿病などで糖分が気になる方は、水分は水や麦茶で摂り、塩分は食事で梅干しや味噌汁などで補うようにするといいでしょう。
涼しい環境で過ごす
高齢者の熱中症の発生場所の多くが住居内でおこっています。私の父親のようにエアコンが苦手な方やエアコンを使うのを我慢して扇風機だけで過ごして、熱中症にかかってしまうようです。
エアコンを使って室温を28℃以下、湿度を70%以下に保つことで熱中症を予防することができます。
日中だけでなく寝る時も涼しい環境で寝るようにすることも大切です。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
熱中症が若い人に比べ高齢者に多い理由として
①暑さを感じにくくなる
②体内の水分量が減っている
③体温調節機能が低下している
ということでした。
高齢者では、熱中症の発見が遅くなりやすいため
唇が乾いている
皮ふが乾いてかたくなっている
体が熱い
元気がない、ぼんやりとしている
食欲がない
などが熱中症にかかっているかを判断するコツである。
熱中症にならないために
こまめに水分と塩分をとる
涼しい環境で過ごす
ということを紹介しました。
これらの方法を実践して暑い夏をお過ごしください。
もし、これらの方法を実践しても熱中症の症状が解消されない場合は、すぐに専門医を受診することをおすすめします。
暑い夏を乗り切る体づくりに関心がありましたら、是非一度ご相談ください。
きっとお役に立てると思います。
監修:柔道整復師・鍼灸師 表川大樹