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後脛骨筋腱炎の悪化サインと受診のタイミングについて

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こんにちは、滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川大樹です。今日は、意外と見逃しやすい「足首の内側の痛みが深刻化していくサイン」についてお話しさせてください。

最近、こんなご相談をいただくことが増えています。

「走ったあとだけ内くるぶしが痛かったのに、最近は夕方になると歩くだけでもズキズキする」「少し休めば治ると思っていたのに、むしろ痛みの範囲が広がってきた気がして」「もしかして、かなり悪化しているのかな…病院に行くべき?」

このような状況、もしあなたにも思い当たることがあるなら、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。後脛骨筋腱炎は、適切なタイミングで対処できるかどうかで、その後の経過が大きく変わってくる症状です。

院長:表川

運動後だけ痛かったのにいつのまにか安静時まで痛くなってきた、そんな変化がいちばん見逃してほしくないサインです。内くるぶし周辺の痛みは段階的に進行することが多く、「まだ大丈夫」と思っているあいだに取り返しのつかない状態になってしまうことも少なくありません

目次

後脛骨筋腱炎とは、どんな状態なのか

後脛骨筋腱炎について、まずは基本的なところから一緒に整理していきましょう。聞きなれない名前ですが、実はランナーや立ち仕事の多い方、また扁平足ぎみの方にはとても身近な症状です。どんな状態なのかを正しく知っておくことが、悪化を防ぐための第一歩になります。

後脛骨筋ってどこにある筋肉?

後脛骨筋というのは、ふくらはぎの奥深くから内くるぶしの後ろを通って、足の裏にかけてつながっている筋肉です。足の土踏まず(アーチ)を支えるうえで、とても重要な役割を担っています。

歩くとき、走るとき、つま先立ちをするとき、この筋肉はつねに働いています。それだけに、酷使が続くと炎症が起きやすくなるのです。そして炎症が腱の部分に集中したものが、後脛骨筋腱炎と呼ばれる状態です。

なりやすいのはどんな人?

臨床の現場でよく見かけるのは、週に何度もランニングを楽しんでいる方、長時間立ちっぱなしで働く方、そして生まれつきまたは後天的に扁平足ぎみの方です。特にランナーの方は「少しくらい痛くても走れる」と感じやすい傾向があり、症状を見逃したまま進行させてしまうケースが多いです。

また、中高年の女性にも多く見られます。ホルモンバランスの変化や体重の変化によって、足のアーチが崩れやすくなることが影響していると考えられています。年齢や性別を問わず、思い当たる方は注意が必要です。

最初の症状と、見落とされやすい初期サイン

「後脛骨筋腱炎かもしれない」と気づくのが遅れてしまう理由のひとつに、初期の痛みがとても軽く、日常生活にほとんど支障がないことがあります。でも、だからこそ早めに気づいてほしいのです。初期のサインを見落とさないために、ここでしっかり確認しておきましょう。

「運動後だけ少し痛い」が始まりのことが多い

もっとも多い初期の訴えは、「走ったあとに内くるぶしの下あたりが少し痛む」というものです。痛みは比較的軽く、休むとすぐに和らぐため、多くの方が「疲れだろう」「筋肉痛かな」と流してしまいます。

ここが落とし穴です。痛みが出ても休めば消えるという段階は、まだ腱への負担が「回復できる範囲」にとどまっているサインとも言えます。しかし、この段階を繰り返しているうちに、腱はじわじわとダメージを蓄積していくのです。

ちょっと待って、こんな変化はありませんか?

初期から一歩進んだサインとして、つま先立ちをしたときに内くるぶし周辺に鋭い痛みが走る、という状態があります。あるいは、階段を昇るときや下るときに「いつもと違う」と感じることも、見逃せないサインのひとつです。

また、内くるぶしの下あたりを指で押したときに、じんわりとした痛みや圧痛(押すと痛い感覚)がある場合も注意が必要です。腱に炎症が起きているときには、こうした圧痛が現れやすいのです。

「悪化のサイン」を見逃すと何が起きるのか

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい内容です。後脛骨筋腱炎の怖さは、「まだ大丈夫」と感じているあいだに、症状が取り返しのつかない段階へと進んでしまうことがある点にあります。どのようなサインが「本当の危険」を示しているのか、段階ごとに丁寧に解説していきます。

ステージ1:運動後だけ痛む(初期)

運動中や運動直後に痛みを感じるものの、安静にしていると痛みが引く段階です。腱への炎症はありますが、まだ組織の損傷は最小限にとどまっていることが多いです。この段階でケアを始めれば、比較的早い回復が期待できます。

ステージ2:夕方や仕事終わりにも痛くなってくる(要注意)

運動をしていないのに、夕方になると内くるぶしの周辺がズキズキしてくる。仕事帰りの歩行が辛くなってきた。こうした変化が現れてきたら、炎症が慢性化しているサインとして受け止めてください。

この段階では、腱への繰り返しストレスが積み重なり、組織の修復が追いつかなくなり始めています。「少し休めば治る」という状態ではなくなってきているのです。ここで対処を始めることが、悪化を防ぐためのタイムリミットとも言えます。

ステージ3:安静時にも痛む、腫れが出てくる(危険)

何もしていないのに内くるぶし周辺が痛む、または内くるぶしの下あたりがふっくらと腫れてきた、という状態は、明らかな危険サインです。腱の組織が本格的にダメージを受けている可能性が高く、自然治癒を期待するのは難しい段階に入っています。

この段階でもなお放置していると、後述する「足のアーチの崩壊」という、より深刻な事態につながりかねません。腫れが出てきたら、できるだけ早くきちんとした評価を受けることをお勧めします。

ステージ4:足のアーチが崩れてくる(重篤)

後脛骨筋腱炎がここまで進行すると、足の土踏まずを支える力が大きく低下し、扁平足が進行してしまいます。横から足を見たときに明らかにアーチが平らになっている、あるいは後ろから見たとき足の外側に指が多く見えるような状態は、腱の機能がかなり失われているサインです。

この段階では、足首だけでなく膝や腰にも余計な負担がかかるようになり、全身の姿勢バランスにも影響が出てきます。腱断裂のリスクも高まるため、専門家による診断と治療が不可欠な状態です。

今すぐ確認してほしい「自己チェック」の方法

自分の状態がどのくらい進んでいるのか、ご自宅でも確認できる簡単なチェックをご紹介します。あくまでも目安ですが、受診の判断材料にしていただければと思います。

まず、かかとを地面につけたままゆっくりとつま先立ちをしてみてください。このとき内くるぶしの下に痛みが走る場合、後脛骨筋腱に負担がかかっているサインです。次に、内くるぶしの斜め下(やや後ろ側)を指でそっと押してみてください。じわっとした痛みがあるなら、腱の炎症が起きている可能性があります。

さらに、靴を脱いで真後ろから自分の足首を見てみてください。かかとが外側に傾いていたり、足の外側に小指・薬指・中指が3本以上見えるような状態であれば、足のアーチの低下が進んでいるかもしれません。こうした変化が複数当てはまるようなら、早めに専門家への相談をお勧めします。

悪化を進めてしまいやすい「やってしまいがちな行動」

せっかくここまで読んでいただいたので、よかれと思ってやってしまいがちだけれど実は悪化につながる行動についても触れておきたいと思います。知っておくだけで、症状の進行を防ぐことができます。

痛みを我慢して運動を続ける

「少しくらいなら大丈夫」という感覚で走り続けることは、腱への刺激を繰り返すことになり、炎症を長引かせる原因になります。特にランナーの方に多いのですが、痛みが出てもゴールまで走り続けた結果、翌日から歩くことも辛くなってしまった、というケースは珍しくありません。

湿布だけで様子を見続ける

湿布は痛みを一時的に和らげる効果がありますが、腱の根本的な問題を解決するものではありません。「湿布を貼れば楽になるから大丈夫」と思って数週間、数ヶ月と過ごしているうちに、症状が静かに進行してしまうケースも多いです。

痛みがないからと急に復帰する

しばらく安静にしていて痛みが引いたとき、「治った!」と思って急に運動量を戻すのも危険です。痛みがなくなったことと、腱が完全に回復したこととは別の話です。段階的に負荷を増やしていかないと、すぐに再発してしまいます。

なぜ「早めの対処」がこれほど大切なのか

30年以上この仕事をしていると、「もっと早くきてくれれば」と思う場面が少なくありません。後脛骨筋腱炎は、初期から中期であれば保存的な治療(手術によらない方法)で十分な改善が期待できる症状です。しかし、腱の損傷が進んだり、アーチが大きく崩れてしまった段階では、回復にかなりの時間と労力がかかります。

また、後脛骨筋腱炎が長引くことで、膝・股関節・腰へも二次的な影響が出てくることがあります。足元の崩れは、じつは全身のバランスに関わってくるのです。だからこそ、「あれ、おかしいな」と感じた段階での早期対処が、その後の生活の質に直結します。

日常の中でできるケアの考え方

すでに痛みを感じている方は、まずは専門家による評価を受けることが大前提ですが、日常の中で気をつけられることも合わせてお伝えしておきます。

まず、足に合わない靴や底の薄い靴での長時間歩行は避けるようにしてください。特にフラットな靴は土踏まずを支える構造がないため、後脛骨筋への負担が増します。インソール(中敷き)を使うことで、アーチへの負担を軽減できることもあります。

また、症状が出ているときは患部を冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。お風呂上がりに患部がじんわり熱を持っているような場合は、アイシング(15〜20分程度)を試してみてください。ただし、慢性化した状態では温めた方がよい場合もあるため、どちらがよいか迷ったときは専門家に確認することをお勧めします。

専門家に診てもらうべきタイミングとは

「どのくらいひどくなったら病院や治療院に行けばいいの?」というご質問をよくいただきます。ここで明確にお伝えしておきます。

次のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早めに専門家への相談をお勧めします。安静にしていても内くるぶし周辺が痛む。夕方や仕事終わりに痛みが出るようになってきた。内くるぶしの下がふっくらと腫れてきた。歩くとき・階段を昇り降りするときに痛みを感じる。足のアーチが以前より低くなってきた気がする。症状が2週間以上続いている。これらは、自然回復を待つよりも積極的に対処したほうがよいタイミングです。

逆に言えば、「運動後だけ少し痛い」という段階であっても、放置ではなく早めにケアをすることで、それ以上の悪化を防ぐことができます。「まだそこまでひどくないから」という理由で後回しにしないでほしいのです。

後脛骨筋腱炎と扁平足の深い関係

後脛骨筋腱炎が進行すると、足のアーチが崩れ、扁平足が悪化するという流れがあることをすでにお伝えしました。ここでは、その関係性についてもう少し丁寧に説明させてください。

後脛骨筋は、足の内側のアーチをぐっと引き上げるように働いています。この筋肉が炎症を起こして弱くなると、内側アーチを支える力が低下し、足が内側に崩れてくる(回内変形)という変化が起きます。こうして扁平足が進行すると、足首だけでなく膝や股関節にまで負担がかかるようになり、さまざまな部位に痛みが広がっていくことがあります。

つまり、後脛骨筋腱炎を放置することは、足の形そのものを変えてしまうリスクをはらんでいるのです。「足首の内側がちょっと痛いだけ」では済まなくなる可能性がある、ということをぜひ知っておいてほしいのです。

ランナーや立ち仕事の方へ、特にお伝えしたいこと

この症状でお悩みの方には、ランナーや長時間立って働く方がとても多いです。「走るのが好き」「仕事を休むわけにはいかない」という気持ちは、とてもよくわかります。でも、だからこそ早めに対処してほしいのです。

ランナーの方に多いのは、「走れているうちは大丈夫」という判断です。しかし、痛みを感じながら走り続けることは、腱への刺激を繰り返すだけでなく、フォームにも悪影響が出ます。庇いながら走ることで、膝や腰に新たなトラブルを引き起こすことにもなりかねません。

立ち仕事の方は、1日の終わりに症状が強くなる傾向があります。特に夕方からの痛みの増加は、慢性化のサインとして受け取ってください。足底への衝撃が蓄積しやすい環境だからこそ、靴やインソールの見直し、そして定期的なケアが重要です。

症状の段階をまとめると

段階主な状態対処の目安
初期運動後だけ内くるぶし周辺が痛む早めのケア開始で進行を防げる段階
要注意夕方・安静時にも痛みが出てくる専門家への相談を強くお勧めする段階
危険腫れが出る、歩くたびに痛むできるだけ早急に専門的な評価が必要
重篤アーチ崩壊、安静時の持続的な痛み長期的な治療が必要になる可能性が高い

この表はあくまで目安です。同じ段階でも個人差がありますし、複数のサインが重なっている場合は、より慎重に対処する必要があります。

最後に、私からひとこと。施術歴30年以上の中で、足首の痛みを長期間抱えながらも「まだ大丈夫」と思って過ごされている方を、数えきれないくらい見てきました。そして、早めに動いた方ほど、早く日常に戻れています。痛みの変化は、身体があなたに送っているメッセージです。どうか見逃さないでください。ひとりで悩まず、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談いただければと思います。あなたの不安に、誠心誠意向き合います。

【監修:柔道整復師・鍼灸師 表川大樹】



院長:表川

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