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腰痛でコルセットを使うべき?専門家が教える3つの注意点
こんにちは。滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川大樹です。最近、患者さんから「コルセットって本当に効果あるんですか?」「何年も使ってるけど治らないんです」という相談が本当に増えているんです。
実は世界中の研究者たちが、コルセットの効果について真剣に研究しているんですよ。今日は30年以上の臨床経験を持つ私が、最新の学術論文をもとに、コルセットの本当のところをわかりやすくお伝えしていきますね。難しい専門用語はできるだけ使わず、中学生の方でも理解できるようにお話ししていきます。
腰が痛くなってドラッグストアに行くと、たくさんの腰痛ベルトが並んでいますよね。値段も数千円くらいのものから1万円以上するものまで様々です。でも、本当に効果があるのか、それとも使わない方がいいのか、正しい情報を知っている人は少ないんです。

今日は科学的な証拠に基づいて、コルセットの本当の効果と正しい使い方をお伝えします
世界の研究で証明されたコルセットの効果とは
まず皆さんに知っていただきたいのは、コルセットには科学的に証明された効果があるということです。ただし、これは「痛みを一時的に和らげる」という効果であって、腰痛を根本的に治すものではないということを理解しておく必要があります。
2025年3月に発表された最新の研究では、世界中の16個の臨床試験(合計650人の患者さんのデータ)を分析した結果、コルセットを使った人たちは使わなかった人たちに比べて、統計的にはっきりと痛みが減少したことが証明されました。これは医学の世界では「メタアナリシス」と呼ばれる、最も信頼性の高い研究方法なんですよ。
具体的には、コルセットには3つの効果があることがわかっています。
- 腰の動きを制限することで、痛みを引き起こす動作を減らすこと
- 腰の周りをぎゅっと締めることで、痛みの信号が脳に伝わりにくくなること
- コルセットをしていることで「腰が守られている」という安心感が得られること
2024年10月に発表された研究では、199人の慢性的な腰痛に悩む患者さんを調査しました。その結果、コルセットと理学療法を組み合わせた人たちは、3ヶ月後には痛みが37%減り、6ヶ月後には42%、12ヶ月後には48%も減少していたんです。これってすごいことですよね。
急にぎっくり腰になった時には効果的
特にコルセットが役立つのは、突然ぎっくり腰になってしまった時や、腰を痛めた直後の「急性期」と呼ばれる時期です。この時期は腰に炎症が起きていて、ちょっと動くだけでも激痛が走りますよね。
そんな時にコルセットを使うと、腰がしっかり固定されるので、仕事や家事などどうしても動かなければならない時でも、なんとか活動できるようになります。医療従事者を対象にした2017年の研究でも、コルセットを使った人たちは腰の痛みが大きく減り、仕事も続けられるようになったことが報告されています。
でもここで大切なのは、コルセットをしているからといって無理をしてはいけないということです。あくまでも「痛みがひどい時期を乗り切るための応急処置」として考えてください。急性期の期間は人によって違いますが、だいたい2週間から長くても1ヶ月くらいです。
長く使い続けると起こる怖い問題
ここからが本当に大切なお話です。実は私の整骨院には、何年もコルセットを手放せなくなってしまった方がたくさん来られるんです。そして残念なことに、そういう方々の腰の状態は、コルセットを使い始める前よりも悪くなっていることが多いんですよね。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。それはコルセットが筋肉の代わりに腰を支えてしまうからなんです。本来、私たちの腰は周りにある筋肉、特にお腹の筋肉や背中の筋肉によって支えられています。これらの筋肉がしっかり働くことで、背骨は正しい位置に保たれているわけです。
ところが、コルセットを長い間使っていると、筋肉が「あれ、自分が頑張らなくても大丈夫みたいだ」と勘違いしてしまいます。すると筋肉がだんだんサボるようになり、いつも100%の力で働いていたのが、70%、50%とどんどん弱くなってしまうんです。
これは実際に科学的にも証明されていて、コルセットを長期間使用すると、体幹の筋肉が萎縮してしまう可能性があることが複数の研究で報告されています。ただし、最近の研究では、適切に使えば筋肉への悪影響は最小限に抑えられることもわかってきました。
コルセット依存という悪循環
筋肉が弱くなると、コルセットを外した時に腰を支えきれなくなって、また痛みが出てしまいます。だからまたコルセットをつける。この繰り返しで、どんどんコルセットなしでは生活できない体になってしまうんですね。医学の世界では、これを「コルセット依存」と呼んでいます。
さらに問題なのは、筋力が落ちた状態では、コルセットをしていても急な動きに対応できないということです。ちょっとした不意の動作で再びぎっくり腰を起こしてしまい、慢性的な腰痛へと変わっていくケースを私は何度も見てきました。
また、長時間お腹周りを強く締めすぎると、内臓にも負担がかかることが研究でわかっています。特に消化器系の働きに影響が出ることもあるんです。医学用語で「コルセット肝」という言葉があるくらい、長期的な圧迫は体に良くないんですよ。
科学的に正しいコルセットの使い方
では、コルセットとどう付き合っていけばいいのでしょうか。世界中の研究結果をまとめると、正しい使い方にはいくつかのポイントがあることがわかりました。
まず大前提として、コルセットは長期的な解決策ではないということを認識してください。あくまでも急性期の痛みを和らげるための一時的な対処法なんです。2008年のコクランレビュー(世界で最も信頼されている医学レビュー)でも、コルセットは急性期の腰痛には効果があるものの、慢性腰痛の予防や長期的な改善には効果が限定的であることが報告されています。
使用期間としては、急性期の2週間から1ヶ月程度を目安にしてください。痛みが少し落ち着いてきたら、徐々にコルセットを外す時間を増やしていきます。最初は家の中だけ外してみる、次は軽い作業の時は外してみる、というように段階的に進めていくことが大切です。
締め付けの強さも重要なポイントです。きつく締めればいいというものではありません。立ち上がる時や前かがみになる時など、痛みが出やすい動作をする時だけしっかり締めて、座っている時などは少し緩めるといった工夫も必要です。
本当に必要なのは筋肉を鍛えること
2024年の最新研究では、コルセットと運動療法を組み合わせることの重要性が強調されています。コルセットで痛みを和らげながら、同時に体幹の筋肉を鍛えていくことが、最も効果的な腰痛改善方法だということがわかってきたんです。
ここで皆さんに考えていただきたいのは、なぜ腰が痛くなったのかという根本原因です。コルセットは痛みを一時的に和らげてくれますが、痛みの原因そのものを取り除いてくれるわけではありません。
長年の施術経験から断言できるのは、腰痛の多くは姿勢の歪みや筋肉のバランスの崩れ、関節の動きの悪さなど、体の構造的な問題から来ているということです。デスクワークで長時間同じ姿勢を続けている、重い荷物を持つ仕事をしている、運動不足で筋力が低下している。こういった生活習慣が積み重なって、腰痛として現れているんですね。
あなたもコルセットなしで元気に動ける体に
ここまで読んでいただいて、「自分はもう何年もコルセットを使っている」「コルセットなしでは不安で仕方ない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。でも、それは決してあなたのせいではありません。正しい情報を知らなかっただけなんです。
大切なのは、今この瞬間から正しい方向に進んでいくことです。当院には、長年コルセットに頼っていた方が、適切な施術と運動指導によって、コルセットなしで快適に生活できるようになった例がたくさんあります。
世界中の研究が示しているように、コルセットは正しく使えば効果的な道具です。でも、それに頼り続けることで失っているものもあります。本来の体の機能を取り戻し、コルセットなしで元気に動ける体を目指してみませんか。
もしあなたが今、コルセットを手放せない状態にあるなら、それは体からのSOSのサインかもしれません。一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
【監修】柔道整復師・鍼灸師:表川大樹


参考文献(学術論文)
- Impact of lumbar support on pain reduction in low back pain patients: A systematic review and meta-analysis of randomized control trials (2025年3月) – 16件のランダム化比較試験を分析した最新のメタアナリシス
- Efficacy of Back Bracing in Treating Chronic Low Back Pain (2024年10月) – 199名の慢性腰痛患者を対象とした研究
- Effects of a wearable type lumbosacral support for low back pain among hospital workers: A randomized controlled trial (2017年1月) – 医療従事者を対象とした腰部装具の効果研究
- Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain (2008年4月) – コクランレビューによる腰部サポートの効果に関する総説
- Evaluation of low back pain and assessment of lumbar corsets with and without back supports (1981年9月) – 腰部コルセットの評価に関する古典的研究
※これらの論文は英語で書かれた医学論文ですが、本記事では内容をわかりやすく翻訳・解説しています。