
院長:表川お気軽にご相談ください!

院長:表川お気軽にご相談ください!


こんにちは!滋賀県守山市で大樹整骨院の院長をしております表川大樹です。
朝晩が冷え込む季節になると、膝の痛みでお悩みの方が一気に増えてきます。そんな中で患者さまからよくいただくご質問が「膝が痛いとき、温めた方がいいですか?それとも冷やした方がいいですか?」というものです。
実はこの質問、多くの方が迷われているんですね。インターネットで調べても「温めると良い」という情報と「冷やすべき」という情報が混在していて、結局どうすればいいのか分からなくなってしまう。そんな経験はありませんか?私のところに来院される方の中にも、間違った対処法で痛みを悪化させてしまったという方が少なくありません。
そこで今日は、膝の痛みを抱えたときに温めるべきか冷やすべきか、その判断基準と正しい対処法について、30年以上の臨床経験からお伝えしていきます。この記事を読めば、もう迷うことはありません。ご自身の症状に合わせた正しいケアができるようになりますよ。


膝の痛みに対して温めるか冷やすか、これは症状の状態によって全く逆の対処法になるため、正しい判断が何よりも大切なんです
膝の痛みに対して温めるか冷やすかを判断する上で、最も重要になるのが「急性期」なのか「慢性期」なのかを見極めることです。この違いを理解することが、正しい対処法を選ぶための第一歩になります。
急性期というのは、怪我をしたり炎症が起きたりして間もない時期のことを指します。スポーツ中に膝をひねってしまった、階段で転んで膝を打ってしまった、といったケースがこれに当たります。一方で慢性期とは、痛みが長期間続いている状態のことです。変形性膝関節症のように、何ヶ月も何年も膝の痛みや重だるさが続いているようなケースですね。
急性期と慢性期では体の中で起きていることが全く違うため、対処法も180度変わってくるんです。
ここを間違えてしまうと、せっかくのケアが逆効果になってしまうこともあります。実際に当院に来られた患者さまの中にも「温めたら余計に痛くなった」「冷やしたけど良くならなかった」という経験をされた方が多くいらっしゃいます。
まずは冷やすべきケースから見ていきましょう。基本的に急性期の膝の痛みには、冷やす対処法が効果的です。
次のような症状が見られる場合は、膝を冷やすことをおすすめします。
膝に熱を持っている、触ると明らかに熱く感じる場合は炎症が起きているサインです。また膝が腫れている、パンパンに張っている状態も炎症の典型的な症状ですね。赤みがある、皮膚が赤く変色している場合も要注意です。
さらに動かすとズキズキと鋭い痛みがある、じっとしていても痛みが強い、というのも急性期の特徴です。これらの症状は、膝の中で炎症反応が起きていることを示しています。炎症というのは体の防御反応ではありますが、同時に痛みや腫れの原因にもなるため、適切に抑える必要があるんです。
先日来院された55歳の女性Aさんは、久しぶりにジョギングをした翌日から膝が腫れて熱を持ち、階段を降りるのも辛い状態でした。Aさんは「膝は温めた方がいい」と聞いていたので、お風呂で温めたり温湿布を貼ったりしていたそうです。しかし症状は改善せず、むしろ痛みが増してしまったとのことでした。
では、具体的にどのように冷やせばいいのでしょうか。最も効果的なのはアイシングです。ビニール袋に氷水を入れて、タオルで包んで膝に当てます。このとき直接氷を当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルで包むようにしてください。
時間の目安は15分から20分程度です。それ以上長く冷やし続けると、今度は血流が悪くなりすぎてしまうため注意が必要です。1時間から2時間おきに繰り返すと効果的ですよ。市販の冷却シートも手軽で便利ですが、温度が氷水ほど下がらないため、炎症が強い場合は氷水の方がおすすめです。
冷湿布については、実は冷却効果はそれほど高くありません。スーッとする成分が入っているため冷たく感じますが、実際の温度は下がっていないんですね。炎症を抑える消炎成分が含まれているため、軽度の炎症には有効ですが、腫れや熱感が強い場合は氷水によるアイシングの方が確実です。
急性期の炎症は、通常2日から3日がピークで、長くても1週間程度で落ち着くことが多いです。腫れや熱感が引いてきたら、そろそろ冷やす対処から次のステップへ移行するサインです。
ただし、1週間経っても腫れや熱感が続く場合は、より深刻な損傷の可能性があるため、必ず医療機関を受診してください。
次に温めるべきケースを見ていきましょう。慢性期の膝の痛みには、温める対処法が効果を発揮します。
次のような症状がある場合は、膝を温めることをおすすめします。痛みが数週間以上続いている、朝起きたときや座った後に膝がこわばる感じがある、動き始めは痛いけれど動いていると楽になる、こういった症状は慢性期の典型的な特徴です。
また、冷えると痛みが強くなる、お風呂に入ると楽になる、膝が重だるい感じがする、といった場合も温める対処が適しています。膝に熱感や腫れがない、触っても特に熱くないという状態であれば、安心して温めることができます。
当院に通われている62歳の女性Bさんは、3年前から変形性膝関節症と診断されていました。特に冬場や雨の日は膝が重だるく、朝のこわばりがひどかったそうです。整形外科では湿布と痛み止めを処方されていましたが、根本的な改善には至っていませんでした。
慢性期の膝の痛みに温めることが効果的な理由は、血流の改善にあります。長期間痛みが続いていると、膝周りの筋肉が緊張して硬くなり、血流が悪くなってしまうんですね。血流が悪いと、筋肉に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、老廃物も溜まってしまいます。
温めることで血管が広がり、血流が良くなると、筋肉に酸素と栄養が届き、老廃物も流れやすくなります。その結果、筋肉の緊張がほぐれて痛みが和らぐんです。さらに温めることで関節の動きもスムーズになり、こわばり感も改善されます。
では具体的にどのように温めればいいのでしょうか。最もおすすめなのは入浴です。38度から40度くらいのぬるめのお湯に15分から20分ゆっくり浸かることで、体の芯から温まり、全身の血流が改善されます。シャワーだけでは体の表面しか温まらないため、できるだけ湯船に浸かることをおすすめします。
温湿布や温熱シートも手軽で効果的です。特に仕事中や外出先では便利ですね。ただし、低温やけどには注意が必要です。長時間同じ場所に貼り続けないようにしましょう。ホットタオルも簡単にできる方法です。濡らしたタオルを電子レンジで温めて、膝に当てるだけです。これなら自宅ですぐにできますね。
最近では遠赤外線の温熱療法器具なども市販されています。膝専用のサポーターで保温するのも、日常的な対策として有効です。血流を良くするという意味では、軽い運動やストレッチと組み合わせるとさらに効果的ですよ。
ここまで読んでいただいても、「自分の症状はどちらに当てはまるのか分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは次のチェックポイントを確認してみてください。
まず膝を触ってみましょう。反対側の膝と比べて明らかに熱を持っているでしょうか。熱を持っていて、腫れもある場合は冷やす対処を選んでください。逆に、特に熱感がなく、むしろ冷たく感じる場合は温める対処が適しています。
次に痛みの種類を確認してみましょう。ズキズキと鋭い痛み、動かすと激痛が走る、じっとしていても痛むという場合は急性期の可能性が高いため冷やしましょう。一方で、重だるい感じ、こわばる感じ、動き始めだけ痛い、動いていると楽になるという場合は慢性期なので温めてください。
痛みが始まった時期も重要な判断材料です。数日前にケガをした、急に痛くなったという場合は急性期です。数週間から数ヶ月、あるいは数年前から痛い、いつから痛いかはっきり覚えていないという場合は慢性期と考えられます。
どうしても判断がつかない場合は、短時間試してみるのも一つの方法です。まず冷やしてみて、痛みが和らぐようなら冷やす対処を続けてください。冷やしても変わらない、あるいは悪化するようなら温めてみましょう。温めて楽になるなら、それが正解です。
ただし、この方法は軽度の症状の場合に限ります。強い痛みや腫れがある場合は自己判断せず、必ず専門家に相談してください。
膝の痛みの多くは適切なセルフケアで改善しますが、次のような症状がある場合は、温めるか冷やすかを判断する前に、すぐに医療機関を受診してください。
膝が動かせないほどの激痛がある場合、これは重度の損傷の可能性があります。膝が完全に曲がらない、伸ばせないという場合も、半月板損傷などの可能性があるため要注意です。また、膝が異常に腫れている、水が溜まっているような感じがする場合も、早めの受診が必要です。
発熱を伴う場合は感染症の可能性もあります。1週間以上セルフケアを続けても改善しない、むしろ悪化している場合も、専門家の診察を受けるべきタイミングです。膝だけでなく、足首や股関節など他の関節も痛む場合は、関節リウマチなどの全身性の疾患の可能性もあります。
ここまで温めるべきか冷やすべきかについてお伝えしてきましたが、実は温めるか冷やすかという対処法は、あくまでも対症療法に過ぎません。一時的に痛みを和らげることはできても、根本的な解決にはならないんですね。
当院に来られる患者さまの多くが、長年にわたって湿布を貼ったり、痛み止めを飲んだり、自己流のケアを続けてこられています。それでも良くならないのはなぜでしょうか。それは膝の痛みの本当の原因が、膝そのものではなく、体の別の部分にあることが多いからです。
例えば、骨盤の傾きが原因で膝に負担がかかっている、股関節の動きが悪くて膝でかばっている、足首が硬くなって膝に無理な力がかかっているなど、膝以外の部分に原因があるケースは非常に多いんです。当院では関節、筋肉、神経、姿勢、歩行という5つの角度から詳細に検査を行い、膝の痛みの根本原因を特定します。
先ほどお話ししたBさんの場合も、詳しく検査してみると、膝そのものよりも股関節の動きの悪さと、骨盤の歪みが大きな原因になっていることが分かりました。膝だけでなく、全身のバランスを整える施術を行ったところ、長年悩まされていた朝のこわばりが大幅に改善され、階段の上り下りも楽になったと喜んでいただけました。
膝の痛みに対して温めるべきか冷やすべきか、その判断基準と対処法についてお伝えしてきました。最後にポイントをまとめておきましょう。
膝の痛みは日常生活に大きな支障をきたします。階段の上り下りが辛い、正座ができない、歩くのも億劫になる。そんな状態では、やりたいことも諦めてしまいがちですよね。でも、適切な対処法を知って実践すれば、多くの膝の痛みは改善できるんです。
ただし、温めるか冷やすかという対症療法だけでは限界があることも事実です。特に慢性的な膝の痛みでお悩みの方は、根本原因を見つけて解決することが何より大切になります。
「温めても冷やしても良くならない」「もう何年も膝の痛みに悩まされている」「病院では手術しかないと言われたけれど、できれば避けたい」そんなお悩みをお持ちの方は、一人で悩まずにぜひご相談ください。
【監修】柔道整復師・鍼灸師:表川大樹



