
院長:表川お気軽にご相談ください!

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こんにちは、滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川大樹です。
最近なんとなく体も心もスッキリしない日が増えてきて「年齢のせいかな」と感じていませんか。同年代の患者さんからは、更年期の頃に感じる疲れや眠れなさ、ドキドキや不安感などが一度に重なってつらいという声を本当によく聞きます。
実は、この年代で増えてくるモヤモヤした不調には、自律神経とホルモンの変化が深く関わっています。医学的な研究でも、更年期のころには自律神経のバランスが乱れやすくなることが分かってきており、決して「気のせい」ではありません。もし今のあなたが「検査では異常なしと言われたのに全然楽にならない」と感じているなら、自律神経のバランスが崩れているのかもしれません。
この記事では、自律神経と更年期の関係をできるだけ分かりやすくお伝えしながら、研究で分かっているポイントと、整骨院としてできるサポートについてまとめました。
朝のだるさや夕方のどっとくる疲れ、寝る前の不安感などでお悩みの方にとって、次の一歩が少しでも見えやすくなればうれしいです。より詳しい内容を知りたい方は自律神経失調症のページも参考にしてみてください。


更年期の揺らぎと自律神経の乱れは、体が「今までと同じ働き方はしんどいよ」と教えてくれているサインだと考えています。そのサインに気づいたタイミングで、身体の整え方を一緒に見直していきましょう
まずは、なぜこの年代になると、自律神経の乱れが出やすくなるのかという全体像からお話しします。この部分を押さえておくと、「自分だけがおかしいわけじゃないんだ」と少し安心していただけると思います。
医学的な研究でも同じような仕組みが報告されており、体の変化としてごく自然なことだと言えます。
更年期の時期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの量が少しずつ減っていきますが、その過程で一時的に増えたり減ったりを繰り返す揺れが起こります。
このとき、脳の中でホルモンの量を管理している視床下部という場所が一生懸命バランスを取ろうとして、かなり忙しく働く状態になります。
問題は、この視床下部がホルモンだけでなく自律神経の中枢もまとめているということです。
ホルモンの変化に振り回されて視床下部がバタバタし始めると、自律神経にも連鎖してしまい、体温調節や心拍数、血圧、汗の量などを細かく整える力が一時的に乱れやすくなります。
その結果として、ホットフラッシュや動悸、寝つきの悪さなどが現れやすくなってしまうのです。
研究では、心拍変動という指標を用いて自律神経の働きを調べると、更年期世代の方では交感神経が強くなりすぎて、副交感神経が弱くなっているパターンが見られることが分かっています。
これは、昼間は頑張るモードのまま、夜になってもブレーキがうまく踏めない状態だとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
この年代になると、はっきりとした病名はつかないのに、いくつもの不調が重なってくることが増えます。
例えば、朝から体が重くてなかなか布団から出られなかったり、日中の集中力が続かずミスが増えたり、夕方になるとドッと疲れが出るなどです。そこに加えて、肩こりや頭痛、めまい、手足の冷えやほてりも出てくると、「どこが悪いのか分からない」という感覚になりやすくなります。


こうした状態は、自律神経の働きがうまく切り替わらなくなっているときによく見られます。交感神経が強く働き続けると、筋肉は緊張しっぱなしになり、肩や首がガチガチに固まりやすくなります。その結果、血のめぐりが悪くなって頭痛やだるさが出てきたり、冷えを感じやすくなったりするのです。
一方で、副交感神経の働きが弱くなると、夜になっても体が休むモードに切り替わりにくくなります。眠ろうとしても頭の中が忙しいままで、布団に入ってもなかなか寝付けない。やっと眠れても途中で何度も目が覚めてしまい、朝起きたときに「寝た気がしない」という感覚が残ってしまいます。
病院で血液検査やレントゲン、心電図などを受けても、「大きな異常はありません」と言われることがよくあります。それでも本人としては明らかに体がおかしいと感じているので、「やっぱり気のせいなのかな」と不安になってしまいますよね。このギャップこそ、自律神経のトラブルの特徴のひとつです。
多くの検査は、臓器そのものの異常や数字の大きなズレを見つけるのが得意です。
しかし、自律神経のバランスの崩れは、数字の範囲内に収まりながらじわじわと起こっていることが多く、一般的な検査では拾いきれない部分があります。だからこそ、症状としては強く出ているのに、検査結果には現れないという状況が起こりやすいのです。
最近では、心拍変動を使って自律神経の状態をグラフで見える化する研究も進んでおり、更年期世代の方の多くに「交感神経優位」なパターンが見られることが報告されています。これは、あなたが感じているつらさが、きちんと体の仕組みとして説明できるものだという裏付けにもなります。
ここからは、もう少し具体的に「どんな症状が出やすいのか」を整理していきます。同年代の患者さんから伺うお話や、医学的な研究で報告されている内容を合わせると、更年期の自律神経の乱れにはある程度よく見られるパターンがあります。ご自身の状態と照らし合わせながら読み進めてみてください。
もちろん、ここに書いた症状がすべて当てはまる必要はなく、いくつかが重なっているケースも多いです。
また、日によって波があるのも特徴で、「調子の良い日」と「あまり動きたくない日」が交互に来るとおっしゃる方も少なくありません。それもまた、自律神経が揺れ動いているサインのひとつです。
更年期の代表的な症状として、突然顔がカーッと熱くなって汗が吹き出すホットフラッシュがあります。これは、脳の中の体温調節センターが敏感になりすぎて、少しの体温変化でも「暑い」と判断してしまうことで起こると考えられています。


研究でも、ホルモンの変化により体温を司る神経回路が乱れやすくなることが示されています。
ホットフラッシュの厄介なところは、周りからは見えにくいのに、本人にとってはかなりつらいという点です。急に汗をかいてしまうのが恥ずかしくて、人前に出るのが怖くなる方もおられます。一方で、顔はほてるのに手足は冷えているというアンバランスな状態が続くこともあり、「体の中で何が起きているのか分からない」という不安につながりやすくなります。
こうした体温の乱高下も、自律神経の調節がうまくいかなくなっているサインです。自律神経は血管の広がり具合や汗の量を細かく調整して体温を保っているので、そのバランスが崩れると「暑いのに寒い」「冷えているのに汗が出る」といった状態が生まれてしまいます。
更年期の自律神経トラブルで多いのが、理由もなく急にドキドキして不安になるという訴えです。
心臓の検査では問題ないのに、ふとした瞬間に胸がザワザワして、息が浅くなり、「このまま倒れてしまうのではないか」と怖くなることもあります。こうした症状は、交感神経が急に強く働きすぎたときに起こりやすいとされています。
心拍変動を調べた研究でも、更年期世代の女性では交感神経の活動が高まりやすく、副交感神経が抑えられていることが分かっています。
これに心理的なストレスや過去の経験が重なると、パニック発作のような強い不安として現れることもあります。ただ、大きな病気ではなくても、本人にとっては生活の質を大きく下げてしまうほどつらい症状です。
こうした動悸や不安感に対しては、薬を使う方法もありますが、呼吸や姿勢、体の使い方を整えることで自律神経の反応を落ち着かせることも可能です。大切なのは、「自分はおかしくなってしまったわけではない」と理解し、一つひとつの対策を積み重ねていくことです。


更年期と自律神経の乱れが重なると、不眠や浅い眠りの悩みも増えてきます。布団に入ってから30分以上経っても眠れなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったり、夢ばかり見て熟睡感がないなど、睡眠の質が落ちてしまうのです。その結果、朝起きた時点で既に疲れている感じがし、日中もずっと体が重い状態が続いてしまいます。
自律神経の観点から見ると、本来夜に優位になってほしい副交感神経の働きが弱まり、交感神経が夜間まで頑張り続けていることが背景にあります。
研究でも、夜間の自律神経のバランスを整える施術やケアを行うことで、更年期症状が和らいだという報告が出てきています。つまり、眠りの質を上げることが、更年期の全体的なしんどさの軽減にも直結すると言えます。
眠れない夜が続くと、「また今日も眠れなかったらどうしよう」という不安が前に出てきてしまい、その不安自体が自律神経を刺激して眠りを妨げるという悪循環に入ってしまうことも多いです。ここをどこかで断ち切ってあげることが、心と体を立て直すうえでとても重要になってきます。
ここまで読んでみて、「もしかして自分のしんどさも、自律神経と更年期の影響かもしれない」と感じられた方も多いのではないでしょうか。決して気のせいでも弱さでもなく、ホルモンの変化と自律神経のバランスの乱れが重なって、体と心が悲鳴をあげている状態だと考えていただいて大丈夫です。
大事なのは、「原因がなんとなく見えてきた今、この先どう整えていくか」です。生活を全部変える必要はありませんが、ちょっとしたセルフケアや体の使い方を見直すだけでも、自律神経は少しずつ落ち着きを取り戻していきます。
次の記事では、今日から取り入れやすいストレッチや首まわりの温め方、生活リズムの整え方、そして治療院でできるサポートについて、具体的にお話ししていきます。


「もう年だから」とあきらめてしまう前に、できることはまだたくさんあります。その一歩目として何から始めればいいのかを、一緒に考えていきましょう。
【監修】柔道整復師・鍼灸師:表川大樹






更年期と自律神経に関するブログ記事作成の際に参考にした主な学術論文・資料は、以下の通りです。
【日本語論文・報告】
1) 甲斐裕子ほか「中年女性の更年期症状および抑うつ症状に対するストレッチの効果」体力科学
2) 「自律神経活動から評価した更年期外来における心理療法の臨床効果」CiNii掲載論文
3) 福島峰子「更年期障害と◯◯症候群との関連についての文献検討」高知学園短期大学紀要
4) 前林亜紀「更年期障害」日本の医学系雑誌に掲載された総説
5) 「レーダーチャート式自律神経バランス解析の女性更年期障害患者への応用」産業医科大学関連論文(HRV解析)
6) 「夜間の自律神経機能を調整し更年期症状を緩和する鍼治療と看護の実践」日本看護系学会誌
7) 加藤京里「後頸部温罨法による自律神経活動と快適感の変化」看護系紀要
8) 「女性の更年期症状を改善する食事、運動、認知、教育介入に関する研究」厚生労働科学研究報告書
9) 「一般用女性保健薬の更年期不定愁訴に対する改善効果の検証」診療と新薬 61巻4号
【英語レビュー・基礎研究】
10) Schwarz et al. “Autonomic nervous system dysfunction throughout menopausal transition: a potential mechanism …”(更年期移行期の自律神経機能障害に関するレビュー)
11) “Menopause and its effects on autonomic regulation of blood pressure”(更年期と血圧の自律性調節に関するレビュー)
【基礎研究・解説資料】
12) 国立生理学研究所レポート「ホットフラッシュを引き起こす神経回路」(視床下部ニューロンと体温調節・自律神経)
【わかりやすい一般向け医療解説(自律神経×更年期の整理用)】
13) オムロン ヘルスケア「更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるの?」
14) クラシエ「更年期症状の原因は自律神経の乱れ?女性ホルモンとの関係」
15) 更年期関連解説ページ「更年期障害の症状と原因」「ホットフラッシュの原因・対策」など
これらの論文・資料をもとに、更年期のホルモン変化と自律神経の関係、心拍変動(HRV)による評価、ストレッチ・鍼・温罨法・生活習慣介入などのエビデンスを整理して記事内容に反映しています。