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ランナー膝テーピング最新研究|効果と限界を専門家が解説

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こんにちは。滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川大樹です。

走ることが好きな皆さんの中には、膝の外側が痛くなって困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。練習を休みたくないけれど痛みが気になるという時、テーピングで何とかならないかと考える方は本当に多いです。

実は、テーピングの効果については世界中の研究者が調べていて、どんな効果があるのか、どんな限界があるのかが少しずつ分かってきています。今日は最新の研究結果を踏まえながら、ランナー膝とテーピングについて、中学生の皆さんにも分かるようにお話しします。テーピングを上手に使いながら、痛みの本当の原因にもアプローチする方法を一緒に考えていきましょう。

院長:表川

テーピングには一定の効果がありますが、根本的な原因を治すものではありません

目次

ランナー膝ってどんな状態なの?

ランナー膝は、正式には腸脛靭帯炎という名前で呼ばれています。太ももの外側には腸脛靭帯という長い組織があって、これが膝を曲げ伸ばしするたびに骨の出っ張りとこすれることで炎症を起こしてしまうんです。走っている時や走った後に膝の外側が痛くなるのが特徴で、ランナーの膝の痛みの中で最も多い症状だと言われています。

世界中の研究者がこの症状について調べていて、2010年にパワーズ博士が発表した研究では、ランナー膝になる人は股関節の動きに特徴があることが分かりました。具体的には、走っている時に股関節が内側に入りすぎたり、内側に回りすぎたりすると、膝に余計な負担がかかってしまうということです。この研究では、ランナー膝になった人の股関節の外に開く筋肉の力が、健康な人と比べて約18パーセントから20パーセントも弱くなっていたことが報告されています。

また、2021年に発表された複数の研究をまとめた論文では、ランナー膝は適切な対処をすれば良くなることが確認されています。特に、痛みが出始めた初期の段階では休養とアイシング、そして正しいストレッチが効果的だということです。ただし、痛みの原因は一つではなく複数の要因が絡み合っているため、それぞれの人に合わせた対処が必要になります。

テーピングの効果は科学的に証明されているの?

では、テーピングには本当に効果があるのでしょうか。2022年にタイの研究者ワッチャラクーンカーンさんたちが行った実験では、20人の健康なランナーにキネシオテープを貼って走ってもらい、体の動きや筋肉の働きを詳しく調べました。この研究で分かったことは、テープを適切な張り具合で貼ると、走っている時の股関節の動きが変わるということでした。

具体的には、テープを貼ることで股関節が外側に開く角度が大きくなり、逆に内側に入る角度が小さくなりました。これは先ほどお話しした、ランナー膝の原因となる良くない動きを改善する方向の変化です。また、太ももの外側にある筋肉の働きが落ち着いて、負担が減っていることも分かりました。

さらに興味深いのは、参加した20人のうち10人が「テープを貼ると快適に走れる」と感じ、6人が「膝が安定する」、7人が「走りやすくなった」と答えたことです。ただし、全員が効果を感じたわけではなく、約半数の人だけが良い変化を実感したという点は覚えておく必要があります。つまり、テーピングの効果には個人差があるということです。

テーピングが体に与える3つの作用

研究によると、テーピングは主に3つの方法で体に働きかけています。一つ目は物理的なサポートです。テープが皮膚を軽く引っ張ることで、腸脛靭帯の動きを制限し、骨との摩擦を減らします。二つ目は感覚への作用です。テープが皮膚に貼られていることで、脳が膝の位置や動きをより正確に把握できるようになり、無意識のうちに良い動きをするようになります。

三つ目は心理的な安心感です。膝がサポートされているという感覚が、不安を減らして走りやすくしてくれます。アメリカのランニング専門サイトでも紹介されているように、テーピングは痛みを和らげたり動きやすくしたりする効果が確認されていますが、奇跡的な治療法というわけではなく、あくまで補助的な手段であることが強調されています。

実際にテーピングをする時のポイント

テーピングをする時には、いくつかの大切なポイントがあります。まず使うテープですが、キネシオテープという伸び縮みするタイプがおすすめです。薬局やスポーツ用品店で買えますので、5センチ幅のものを選びましょう。テープを貼る前には、膝周りの汗や皮脂をきれいに拭き取ることが大切です。

基本的な貼り方

一本目のテープは、太ももの外側から膝の外側を通ってすねの外側まで、縦に長く貼ります。この時、膝を軽く曲げた状態で貼るのがコツです。

テープの両端5センチくらいは引っ張らずにそのまま貼り、真ん中の部分だけを軽く引っ張りながら貼りましょう。引っ張りすぎると皮膚が赤くなったりかゆくなったりするので、肌にシワが寄らない程度の強さで大丈夫です。

二本目のテープは、膝のお皿の下から横向きに貼ります。膝の外側を通って太ももの後ろ側に向かうように貼ると、腸脛靭帯を下から支える形になります。二本のテープがちょうど膝の外側で交差するように貼ると、痛みが出やすい場所をしっかりサポートできます。

気をつけてほしいこと

テーピングをする時には、いくつか注意が必要です。テープを貼ったまま一日以上放置すると、皮膚がかぶれる原因になるので、毎日必ず張り替えましょう。もしかゆみや赤み、痛みが出たらすぐに剥がしてください。

また、テーピングをしたからといって、強い痛みがあるのに無理して走り続けるのは絶対にやめましょう。痛みは体からの大切なサインです。

テーピングだけでは治らない理由

ここまでテーピングの効果についてお話ししてきましたが、実はテーピングだけでランナー膝を完全に治すことはできません。

なぜでしょうか。それは、膝の痛みの原因が膝だけにあるわけではないからです。2011年にフェルバー博士が行った研究では、股関節の外側に開く筋肉を3週間トレーニングしたところ、膝の痛みが減り、走っている時の膝の動きが安定したという結果が出ています。

この研究に参加したランナーは、筋力トレーニングをした後、92パーセントの人が痛みなく走れるようになり、6ヶ月後には全員が元通りにランニングを楽しめるようになったそうです。これは、膝の痛みを治すためには、股関節の筋力を強くすることがとても大切だということを示しています。

当院に来られる患者さんを詳しく検査すると、股関節が硬かったり、足首の動きが悪かったり、体幹の筋力が弱かったりすることがほとんどです。

例えば、股関節がうまく動かないと、その分膝に余計な負担がかかります。また、足首が硬いと着地の衝撃をうまく吸収できず、膝に強い力が加わってしまいます。

走り方のクセも大きく影響していて、骨盤が後ろに傾いたまま走っていたり、着地の時に膝が内側に入ってしまったりすると、腸脛靭帯に繰り返しストレスがかかってしまうんです。

根本的に良くするために必要なこと

ランナー膝を根本から良くするためには、痛みの本当の原因を見つけることが何より大切です。当院では、関節、筋肉、神経、姿勢、歩行という5つの視点から体全体をチェックして、膝に負担をかけている本当の原因を探します。

例えば、股関節の動きが悪い人には股関節周りの筋肉を緩める施術を行い、自宅でできるストレッチもお教えします。体幹の筋力が足りない人には、効果的なトレーニング方法をお伝えします。

研究でも、ランナー膝には休養とストレッチ、そして股関節や体幹の筋力トレーニングを組み合わせた治療が効果的だと報告されています。実際に当院で施術を受けた方からは「テーピングでごまかしながら走っていた日々が嘘みたいに、今は快適に走れています」という声をいただいています。

40代の男性の方は、マラソン大会の2ヶ月前に膝の痛みで来院されましたが、股関節の硬さと体幹の弱さに対処した結果、無事に目標の大会を完走されました。

今日からできる予防の方法

テーピング以外にも、日常生活でランナー膝を予防する方法があります。まず大切なのは、練習量を急に増やさないことです。走る距離は、前の週と比べて10パーセント以内の増加に抑えるのが理想的です。例えば、先週20キロ走ったなら、今週は22キロまでにしておくという感じです。

次に、走る前後のストレッチを習慣にしましょう。特に太ももの外側、太ももの前側、お尻の筋肉をしっかり伸ばすことが予防につながります。各ストレッチを20秒から30秒かけてゆっくり行い、痛くない範囲で続けてください。

また、ランニングシューズの見直しも重要です。靴底がすり減っていたり、クッションが硬くなっていたりすると、膝への負担が大きくなります。500キロから800キロ走ったら、シューズを新しくすることを考えましょう。

まとめ

ランナー膝で膝の外側が痛む時、テーピングは確かに役立つ方法の一つです。世界中の研究でも、テーピングをすることで走っている時の体の動きが変わったり、痛みが和らいだり、安心して走れるようになったりすることが確認されています。特に、股関節の動きをサポートして、ランナー膝の原因となる良くない動きを改善する効果があることが分かっています。

ただし、テーピングで効果を感じる人は約半数で、個人差があることも研究で示されています。そして何より大切なのは、テーピングは対症療法であり、痛みの根本原因を治すものではないということです。研究が教えてくれているのは、股関節の筋力を強くしたり、柔軟性を高めたり、走り方を改善したりすることが、本当の意味でランナー膝を良くする方法だということです。

大会が近くてどうしても走り続けなければならない時、テーピングを活用するのは一つの選択肢です。でも、痛みが続いたり繰り返したりする場合は、専門家にしっかり検査してもらって、根本的な原因を見つけることをお勧めします。

当院では、膝だけでなく体全体を診る検査を行い、一人ひとりの痛みの原因に合わせた施術を提供しています。テーピングに頼らなくても快適に走れる体づくりを、一緒に目指していきましょう。

ランナー膝でお困りの方は、一人で悩まずにいつでもお気軽にご相談ください。あなたが笑顔で走り続けられるよう、全力でサポートさせていただきます。

【監修】柔道整復師・鍼灸師:表川大樹

参考文献

  1. Watcharakhueankhan P, et al. “The immediate effects of Kinesio Taping on running biomechanics, muscle activity, and perceived changes in comfort, stability and running performance in healthy runners with iliotibial band syndrome risk factors.” Gait Posture. 2022;92:222-228.
  2. Powers CM. “The influence of abnormal hip mechanics on knee injury: a biomechanical perspective.” J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(2):42-51.
  3. Ferber R, et al. “Changes in knee biomechanics after a hip-abductor strengthening protocol for runners with patellofemoral pain syndrome.” J Athl Train. 2011;46(2):142-149.
  4. Sanchez-Alvarado A, et al. “Effects of conservative treatment strategies for iliotibial band syndrome: A systematic review and meta-analysis.” Front Sports Act Living. 2024;6:1372620.
  5. Beals C, Flanigan D. “A review of treatments for iliotibial band syndrome in the athletic population.” J Sports Med (Hindawi Publ Corp). 2013;2013:367169.
  6. 福林徹. “スポーツ傷害における腸脛靱帯炎の誘因となる筋力および下肢動作的要因.” 筑波大学陸上競技研究紀要. 2014;10:1-6.

院長:表川

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