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50代からの腰痛予防|今すぐ見直したい座り方のポイント
こんにちは、滋賀県守山市にある大樹整骨院院長の表川大樹です。
デスクワークをしていると、気がつけば腰が重だるくなって集中できなくなることってありませんか。実は毎日何気なく繰り返している座り方が、慢性的な腰痛を引き起こしている可能性があるんです。
長時間パソコンに向かう生活が当たり前になった今、座り方による腰への負担は想像以上に大きくなっています。椅子に座っている時間が長いほど、正しい姿勢を保つことの重要性が増してくるのです。

30年以上の施術経験から言えることは、座り方を見直すだけで腰痛が劇的に改善する方が本当に多いということです
座っている時の方が腰への負担は大きい
座っている姿勢は一見楽そうに見えますが、実は立っている時よりも腰椎にかかる負担が大きいことをご存知でしょうか。これは単なる経験則ではなく、医学研究によって科学的に証明されている事実なのです。
2023年に発表された包括的な文献レビューでは、支えのない座位姿勢は直立立位と比較して椎間板内圧が約30パーセント増加することが明らかになっています。さらに古典的な研究として知られるNachemsonらの1960年代から1970年代にかけての一連の研究では、座位が立位よりも40パーセントも高い負荷を腰椎にかけることが報告されました。
これらの研究では、椎間板に直接圧力測定装置を挿入して椎間板内圧を測定するという画期的な方法が用いられています。その結果、立っている時を基準にすると、椅子に座った時には腰椎の椎間板に明らかに大きな圧力がかかることが実証されたのです。
なぜ座ると腰への負担が増えるのか
椅子に座ると骨盤が後ろに傾きやすくなり、それに伴って腰椎のカーブが失われてしまいます。本来、背骨は緩やかなS字カーブを描いており、このカーブが体重を分散させるクッションの役割を果たしているのです。
ところが座り方が悪いとこのカーブが崩れてしまい、腰の一部分に過度な負担が集中してしまいます。2022年に韓国で行われた研究では、座位と立位での実際の椎間板内圧を比較測定し、座位では椎間板の前方部分に特に強い圧力がかかることが確認されています。
さらに長時間同じ姿勢を続けることで、腰回りの筋肉が緊張し続けて血流が悪くなります。筋肉への酸素供給が不足すると疲労物質が蓄積し、それが痛みやだるさとして感じられるようになるのです。
間違った座り方がもたらす悪影響
浅く腰かけてふんぞり返るような座り方をしていると、骨盤が安定せず腰椎に余計な負担がかかります。また、背中を丸めた猫背の姿勢では椎間板の前方に圧力が集中し、椎間板ヘルニアのリスクも高まってしまうのです。
足を組む習慣がある方も要注意です。片側だけに体重が偏ることで骨盤が歪み、左右の筋肉バランスが崩れてしまいます。こうした歪みは腰痛だけでなく、股関節や膝の痛みにもつながる可能性があります。
腰に負担をかけない正しい座り方
それでは具体的にどのように座れば腰への負担を減らせるのでしょうか。ポイントは骨盤をしっかりと立てた状態で座ることにあります。骨盤が立つと自然に背骨のS字カーブが保たれ、腰椎への負担が大幅に軽減されるのです。
椅子への座り方の基本ステップ
まず椅子に座る際は、前かがみの姿勢でお尻を座面の一番奥まで深く入れることから始めます。背もたれにしっかりとお尻を押し当てるイメージで座ってください。浅く座ると骨盤が後ろに倒れやすくなり、背中が丸まってしまいます。
次に上体を起こして、あごを軽く引きながら背筋を伸ばします。この時、無理に胸を張りすぎたり腰を反らせすぎたりする必要はありません。坐骨という骨盤の底にある骨で座面を捉える感覚を意識すると、自然と骨盤が立った状態になります。
両足は床にしっかりとつけて、膝と股関節がそれぞれ90度程度になるようにします。足が床に届かない場合は足台を使用すると良いでしょう。かかとが浮いていると太ももの裏側に圧力がかかり、血流が悪くなってしまいます。
椅子と机の適切な高さ調整
どんなに正しい姿勢を心がけても、椅子の高さが合っていなければ腰への負担は減りません。座面の高さは足裏全体が床につき、膝が直角になる位置に調整してください。
机の高さも重要で、肘を90度に曲げた時に自然と机の上に手が置ける高さが理想的です。机が高すぎると肩が上がってしまい、低すぎると前かがみになって腰に負担がかかります。椅子と机の距離も近すぎず遠すぎず、拳一個分程度の隙間があると良いでしょう。
研究で明らかになった座位の注意点
興味深いことに、座り方によって腰椎への負担は大きく変わることも研究で分かっています。背もたれを使わずに座ると椎間板内圧がさらに上昇し、逆に背もたれにしっかりと寄りかかることで圧力を軽減できることが示されています。
また、腰にクッションやランバーサポートを当てることで、腰椎の自然なカーブを保ちやすくなり、椎間板への負担を減らせることも報告されています。クッションは腰の一番くぼんでいる部分、ちょうどベルトを締める位置の少し上あたりに当てると効果的です。
前かがみ姿勢は特に危険
デスクワークで特に気をつけたいのが前かがみの姿勢です。研究によると、背中の屈曲角度が20度を超えると座位よりも立位の方が椎間板内圧が高くなることが分かっています。つまり、椅子に座って前かがみになると、立っているよりもさらに腰に負担がかかる可能性があるということです。
パソコン作業では画面が低い位置にあると自然と前かがみになってしまうため、モニターの位置を目線の高さに調整することが大切です。ノートパソコンを使用している方は、スタンドを使って画面の高さを上げ、別途キーボードとマウスを用意すると良いでしょう。
長時間のデスクワークでも疲れない工夫
どれだけ正しい座り方をしていても、同じ姿勢を長時間続けることは腰にとって好ましくありません。理想的なのは30分から1時間ごとに立ち上がって体を動かすことです。
立ち上がることが難しい状況であれば、座ったままできる簡単なストレッチを取り入れましょう。両手を頭の後ろで組んで上体を軽く反らせたり、椅子に座ったまま片膝ずつ胸に引き寄せたりするだけでも、腰回りの筋肉の緊張をほぐすことができます。
サポートグッズの活用方法
ランバーサポートやクッションは、腰椎のカーブを保つための有効な補助具です。ただしクッションに頼りすぎると、かえって筋肉を使わなくなってしまう可能性もあります。あくまでもサポートとして活用し、基本的には自分の筋肉で良い姿勢を保つことを心がけてください。
床に座る場合の注意点
自宅でリラックスする時など、床に座る機会も多いかと思います。床に座る場合、椅子に座る時以上に骨盤が後ろに倒れやすく、腰への負担が大きくなりがちです。
あぐらや体育座りは楽な姿勢に感じられますが、実は骨盤が後傾して腰が丸まりやすい座り方なのです。もし床に座るのであれば、正座が最も腰への負担が少ない座り方と言えます。正座では骨盤が立ちやすく、背骨のS字カーブも保ちやすいからです。
ただし正座を長時間続けると足がしびれてしまうため、適度に姿勢を変えることが大切です。座椅子を使用する場合は、背もたれの角度を調整できるタイプを選び、骨盤が立った状態をサポートしてくれるものを選びましょう。
日常生活で意識したい座り方のポイント
通勤電車やカフェ、レストランなど、私たちは一日の中でさまざまな場所で座ります。どんな場面でも共通して意識したいのは、深く腰かけて骨盤を立てることです。
車の運転中も腰痛が起こりやすいシーンの一つです。シートの背もたれを倒しすぎると骨盤が後傾してしまうため、やや直立気味に調整してください。長距離運転の際は、サービスエリアでこまめに休憩を取り、車外で軽く体を動かすことをお勧めします。
姿勢を維持するための筋力強化
良い姿勢を保ち続けるためには、ある程度の筋力が必要になります。特に腹筋と背筋のバランスが重要で、この二つの筋肉群が体幹を支えることで、楽に正しい姿勢を維持できるようになります。
日常生活の中で階段を使うようにしたり、通勤時に一駅分歩いたりするだけでも、体幹を使う機会が増えて筋力維持につながります。また、当院で指導している簡単な体幹トレーニングを継続することで、座り姿勢も自然と改善されていきます。
まとめ
腰痛と座り方には密接な関係があり、毎日の座る姿勢を見直すことが痛みの改善への第一歩となります。医学研究によって座位が立位よりも腰椎への負担が大きいことが科学的に証明されており、正しい座り方を実践することの重要性は明らかです。
骨盤を立てて深く座る、足を床にしっかりつける、適度に姿勢を変えるという基本を意識するだけで、多くの方の腰の負担は大きく軽減されるはずです。ただし、すでに強い痛みがある場合や、座り方を改善しても痛みが続く場合は、腰椎や椎間板に何らかの問題が生じている可能性があります。
大樹整骨院では、一人ひとりの体の状態を詳しく検査し、痛みの根本原因を見つけ出します。座り方の指導はもちろん、体の歪みを整える施術や、筋力強化のためのアドバイスまで、トータルでサポートいたします。我慢せずに早めに専門家に相談することが、症状の悪化を防ぐために重要です。腰痛でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
【監修】柔道整復師・鍼灸師:表川大樹


参考文献
- Li S, et al. (2022). Comparison of In Vivo Intradiscal Pressure between Sitting and Standing: A Systematic Review and Meta-Analysis. Life (Basel), 12(3):457. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8950176/
- Roman-Liu D, et al. (2023). Differences in lumbar spine intradiscal pressure between standing and sitting postures: A systematic review and meta-analysis. PeerJ, 11:e16176. https://peerj.com/articles/16176/
- Nachemson AL, Morris JM (1964). In vivo measurements of intradiscal pressure. J Bone Joint Surg Am, 46:1077-1092.
- Wilke HJ, et al. (1999). New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine, 24(8):755-762.
- Alamin TF, et al. (2018). The effect of standing vs. variants of the seated position on lumbar intersegmental flexion. J Spine Surg, 4(2):220-227. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6261755/